「新人」を雇うと言う事

「新人」を雇うと言う事

春になると町には真新しいスーツを着た若者たちが行きかう様になります。いわゆる「社会人一年生」たちですね。彼らは今後の所属した会社の将来を担う存在として活躍を期待されます。一般企業と比べて美容室のような技術職の場合は、少し事情が違う所があります。それはいわゆる「技術を磨く」業界ですから、新人の子たちを多数採用して、研修をして、配属先を決めて、というような一般企業の年度初めとは違った趣があります。そもそもそんなにたくさんの新人を抱える事が少ないと言う事があるでしょう。新人を雇う、と言う事は美容室の様な技術を必要とする業界では、「当面売り上げなどには貢献できない人を雇う」と言う事になります。もちろんその新人がまったく美容室にとって無益な存在と言う事ではありません。見習いやアシスタントとして雑務をこなし、先輩を助ける働きをするのでしょうけれども、その働きよりもまだまだ練習すべきこと、学ぶべきことが多いのが新人美容師と言う物です。そういう新人を雇う、と言う事は、ある程度その美容室に余裕がないと出来ない事でもあります。新人を雇うと言う事は、当面その新人が利益をもたらす存在にはなれない事、むしろその人の教育のために現存のスタッフの仕事にもしわ寄せが行く事、など、そういうことを覚悟する必要があるんですね。新人美容師を雇い入れる、と言う事は美容室側にもそれなりの覚悟のあってのこと、と思われます。なぜなら新人はけっして即戦力にならないばかりではなく、まずは新人を教育するための人材も必要になってくるような状況になるからなんですね。ですがそれは決して悲観的な事ではなく、おそらく新人を迎えようとする美容室は、経営が上向いている美容室で、その店の将来を担う人材を求めていたに違いありません。新人を迎えるメリットは、その新人を一から自分のお店のノウハウで育てる事が出来るからなんですね。途中から入った経験者は、よくそれまで勤めていた美容室でのやり方や身に付けた技術、センスが、今の美容室に合わない事もしばしばあり、クセやセンスを変えなくてはならなかったり、美容師によってはそのことを拒んだり、以前の店のやり方を主張したり、と美容室にとってはちょっと厄介な存在になってしまう事もあるんですね。その点新人の美容師はすべてその美容室の思う通りに育てる事ができます。もちろん個人のセンスや考え方はあると思いますが、それはその美容師が一人前になってからどう判断してどう振る舞うか、と言う事になります。新人の間はまずはお店の要望にまっすぐに応えようとするに違いないので、美容室としても信頼関係を築きやすいのだと思われます。鶴瀬 床屋